パキラの元気がない…もしかして、根腐れ(ねぐされ)?
根腐れしたかどうかって、どう見分ければいいの?
今回は、弱ってしまったパキラが根腐れしたかどうかの見分け方、さらに、根腐れの原因や根腐れが疑われる場合の対処法までを解説します。
※根腐れとは?…植物の根っこが腐ること。根が腐ると水分や養分が吸い上げられなくなるため、地上部も徐々に弱ってしまう。根腐れに発展した観葉植物の多くは、そのまま腐敗することが多い。
パキラが根腐れしたかどうかの見分け方
まずは、根腐れの見分け方からみていきましょう。
根腐れしたかどうかを見分けるためには鉢から取り出し、根っこを確認
「根腐れしたかどうか」を見分けるためには、鉢から取り出し根っこの状態を実際に確認してみることです。
※ただ、幹がぶよぶよ柔らかかったり、すでに根元が黒く腐って触れるとぐらつく…等の場合は、すでに根腐れ後期に至っている可能性大です。復活はかなり難しいでしょう。
根が黒く傷んでいるなら根腐れを起こしているサイン
鉢や容器から植物をそっと取り出してみましょう。根が黒く傷んで柔らかくなっている場合、根腐れを起こしていると考えられます。
この時、白い根っこや弾力のある根っこが残っているなら復活の可能性もあります。
ただ、すべての根が黒くボロボロに傷んでいたり、すでに根元まで黒く変色し腐敗が進んでいる場合は、残念ながら復活はかなり困難です。
パキラが根腐れしたときによくある症状
「根腐れ」とひとことで言っても、その症状は実にさまざまです。
根が腐ることで水分や養分が取り込めなくなるため、全体的に元気が無くなってきます。
根腐れ初期のパキラにみられる主な症状
- 水やり後、7日以上たっても土が濡れたまま…
根腐れ中期のパキラにみられる主な症状
- 水やりしても葉がしおれたまま…色も悪い…
- 全体的に緑色が薄くなってきた…
根腐れ後期のパキラにみられる主な症状
- 葉がパラパラと落ち始めた…
- 根元が黒く腐敗している、触れるとぐらつく…
- 幹がぶよぶよと柔らかい、腐敗臭のようなものある…
- コバエがわいたり、カビが生えることも…
パキラが根腐れを起こす原因は水のやり過ぎだけじゃない
「根腐れ=水のやり過ぎ」。これはみなさん、すでにご存じかもしれませんね。
しかし、根腐れの原因は水のやり過ぎだけとも限りません。
基本は「根腐れ=水のやり過ぎ」。
パキラが根腐れに発展する主な原因は、水のやり過ぎによる根が腐敗です。
パキラは地上部の大きさの割に、根は思っているほど張っていないことが多い植物です。それは、海外から仕入れた幹を国内で発根させているケースが多いから(すべてではない)。
そのため、水をやり過ぎると常に土が濡れた状態となり、根が呼吸できずに傷んで腐ってしまうことがあるのです。
パキラの水やり【目安】
- 春~秋(15度以上)⇒土がしっかり乾いてから、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やり
- 秋~冬(15度以下)⇒土がしっかり乾いてさらに3~4日程経ったら、土全体が湿る程度に常温の水を与える(水温が冷えて根を傷めないよう、水やりは午前中が基本)
※パキラは暖かい地域が原産のため、気温が15度以下になると生長が鈍ります。
と同時に、根が水分を吸い上げる力も弱まるのです。そのため、寒い時期は水やりを控えて根を傷めないようにします。
乾かし気味に管理することで樹液濃度を高め、寒さに備えることもできます。
古い土は粒が崩れ団子状に固まる⇒排水性が悪くなり根腐れを引き起こしやすくなる
「でも、土が乾いてから水をやっていたはずなのに、根腐れの症状がみられるんだけど?」
このような場合、土が古くなることで鉢内の水はけが悪くなっていることも考えられます。
経年により土の粒は崩れる。すると土は団子状に固まり水はけが悪くなる。
植え替え当初は水はけの良かったはずの土も、経年とともに土の粒が崩れ、団子状に固まるようになります。
すると、鉢内の水はけが悪くなって根腐れの原因となることもあるのですね。
パキラの場合、最低でも2年に一度は土を更新する目的でも植え替えをするのが理想的でしょう。
水やりをしていて、「あれ?なんだか水が土になかなか浸透していかなくなってきたな…」と感じたら、土が古くなっている可能性が高いです。
また、鉢の中が根っこでいっぱいになる「根詰まり」を起こしている場合も同様に、鉢内の水はけが悪くなります。
土の劣化による根腐れや、根詰まりからの根腐れを未然に防ぐためにも、2年に一度の植え替えをおすすめします。
※ただし寒い時期の植え替えは基本×。パキラの植え替え適期は春から秋にかけての暖かい時期です。
気温が下がり始める秋にうっかり水をやり過ぎると根腐れを起こしやすい
また、パキラが根腐れを起こしやすいのが秋から冬にかけての気温が下がる時期です。この時期は気温低下により、パキラの生育が徐々に落ちてきます。
寒さで生育が鈍ってきていることに気づかず、暖かい時期と同じタイミング(土が乾いてすぐ)で水をやり続けていると、根が常に湿った状態となって根腐れを起こしやすくなるのです。
半袖で外に出て「肌寒い…」と感じるようになったら少しずつ水やりを控え目にシフトしなくてはなりません。
水やりチェッカーで根腐れを防ぐ
水やりチェッカーがあると水やりの管理が楽になるのでおすすめです。
スティック状のチェッカーを土に差しておくだけで、土の乾き具合を測定し、最適な水やりのタイミングを色で知らせてくれます。
土が乾いたら「白」、濡れていれば「青」。土の乾き具合が可視化されるだけで、水やりの管理がグッと楽になりますよ。
- 春~秋(最低気温が15度以上)…「白」になったタイミングでたっぷりと水やり
- 秋~冬(最低気温が15度以下)…「白」になってさらに3~4日してから常温の水を暖かい午前中までに与える
夏場、熱くなった床面に鉢を直接置く…これも、根が腐る原因になりうる
真夏に気を付けたいのが「蒸れ」による根腐れです。たとえば、水やり後に熱くなった屋外の床面に直接鉢を置くのは危険です。
鉢内に残った水分が床面の高温で水温が上昇し、根が煮えて傷んでしまう恐れがあります。
夏は直射日光を避け、暑くなった床面に直接鉢を置かない
夏場、屋外に鉢を置く場合は直射日光を避けることはもちろん、床に直接鉢を置かずに鉢スタンド等を利用し少し浮かせます。
キャスター付きなら移動の際も便利でおすすめです。
パキラが根腐れを起こした時にできることとは?
では、すでに根腐れを起こしたパキラにできることを状況別でみていきましょう。基本は水やりを控え、風通しのよい場所に置くことです。
ただ、すでに幹がぶよぶよなら復活は極めて難しいでしょう。
ケース①土が一週間以上かけて湿っている
最後に水やりをしてから一週間以上土が湿ったままという場合、根腐れを起こしやすい状態になっています。
できるだけ風通しのよい場所に置いて通気性を確保しましょう
窓を閉め切る時期ならサーキュレーターを使い、停止しがちな室内の空気を意識的に動かします。
また、冬場は寒さ、夏は高温に注意してください。鉢内の水分が冷えすぎたり熱くなり過ぎることで根が傷む恐れがあるからです。
土が乾くまでは水を控え、できるだけ風通しのよい場所に置く
土が乾くまでは水やりを控え、できるだけ風通しのよい場所に置いて様子をみます。
焦って肥料や活力剤を与えるのはおすすめしません。
ケース②葉がしおれたり、色が悪くなったりして元気がない
土が濡れている状態で、葉がしおれたり、色が悪くなっている場合は根腐れの可能性があります。
水やりを控え、風通しのよい場所に置いても改善がみられないなら、一旦、鉢から株を取り出して見るのも選択肢のひとつ。
ただし、冬場は植物にとってかなり大きな負担となるためあまりおすすめしません。
鉢から取り出し水はけの良い土に植え替えてみる
鉢から取り出したら濡れた土を優しく落とし、根の状態を観察します。
黒くぶよぶよになった根がある場合はできるだけ取り除きます。その後、水はけのよい乾いた土に植え付け水を与え、しっかりと水気を切りましょう。
受け皿に溜まった水はこまめに捨て、さらに、折りたたんだ雑巾やキッチンペーパーなどの上に鉢を置き、鉢内の余分な水分をあらかじめ抜いておきます。
夏なら直射日光を避けた風通しのよい明るい場所へ、冬なら暖かく風通しのよい場所に置きます。
水やりは土がしっかりと乾いて3日ほどしてから。葉が乾燥するなら霧吹きで水分を吹きかけます。
夜間は葉を冷やしてしまうため、霧吹きは午前中までに済ませるのが理想的です。
ケース③幹が柔らかくなって株がぐらつく場合
パキラの幹に触れてみましょう。
土が7日以上濡れたままで、且つ、幹に触れてすでにふかふか柔らかくなり、幹自体もぐらついて不安定になっている場合、根腐れがかなり進行していると考えられます。
このような場合、すでに葉も落ちて幹だけになっていることも多いでしょう。
硬い茎が残っていればカットし発根させ、挿し木で育て直してみる
ここまで根腐れが進行している場合、残念ながらそのほとんどがそのまま枯れてしまいます。
ただ、まだ硬い茎が残っている場合は「挿し木(さしき)」で育て直すという選択肢も残っています。
葉の付いた茎をカットし水に差して発根させ、土に植え付けて育てるのです。
パキラが根腐れしたかどうかの見分け方と対処法【まとめ】
ということで、今回はパキラが根腐れした時の見分け方と、根腐れに至る主な原因とその対処法までをご紹介しました。
パキラが弱っていると、ついつい慌てて下写真のようなアンプル剤を土にグサッと挿したくなりますよね。
※ただ、このような形状の容器に入った肥料もあります。
ただ、地上部が弱っているということは根もダメージを受けている可能性が高いです。
その場合、闇雲に肥料や活力剤を与えると、逆に根を傷める原因になることもあります。
まずは環境の見直しから始めてみましょう。面倒ですが、原因を探ること。そこから導き出した対処法を試してみることです。